交通事故の損害についてよくあるご相談

すぎしま法律事務所(岐阜市神田町1−8−4)
弁護士 杉島健二(岐阜県弁護士会所属)


Q5.交通事故の死亡事案の損害賠償について

Q5−1−1 死亡事故の場合の逸失利益の算定には、算定式があると聞きました。どのような算定式なのですか。
Q5−1−2−1 自賠責では、死亡事故の場合の逸失利益を算定するための基礎収入は、どのように決めるのですか。
Q5−1−2−2 「赤い本(弁護士会基準)」では、後遺症逸失利益を算定するための基礎収入は、どのように決められるのですか。
Q5−1−2−3 「青本(弁護士会基準)」では、後遺症逸失利益を算定するための基礎収入は、どのように決められるのですか。
Q5−1−3 死亡逸失利益の算定には、生活費控除率という概念が用いられると聞きました。どのような概念ですか。
Q5−2 死亡事故の場合の慰謝料について教えてください。


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Q5.交通事故の死亡事案の損害賠償について


Q5−1−1 死亡事故の場合の逸失利益の算定には、算定式があると聞きました。どのような算定式なのですか。

 まず、計算の方法について、大まかに言うと、被害者の基礎収入(主に年収)から、生活費に費やされるであろう部分を控除し、それに就労可能年数に応じたライプニッツ係数を乗じたものが死亡逸失利益となります。
 これを計算式にすると、次のようになります。
(死亡逸失利益) = (基礎収入) × (1 − 生活費控除率)
             × (就労可能年数に応じた中間利息控除係数)
 死亡の場合は、当然のことですが全く働くことができなくなるので、後遺症逸失利益の算定で用いた労働能力喪失率という概念を用いることはありません。反面、死亡してしまえば、生活費を支出することは無くなるのですから、その分については損害として認められませんから、生活費控除率という概念を用いることになります。

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Q5−1−2−1 自賠責では、死亡事故の場合の逸失利益を算定するための基礎収入は、どのように決めるのですか。

 まず、有職者については、事故前1年間の収入額と死亡時の年齢に対応する年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額を収入額とするのが原則です。ここにいう年齢別平均給与額は、自賠責の「支払基準」の別表Wに定めています。
 次に、幼児・児童・生徒・学生・家事従事者については、全年齢平均給与額の年相当額とするのが原則です。
 最後に、無職だけども働く意思と能力を有する者については、年齢別平均給与額の年相当額とするのが原則とするが、全年齢平均給与額の年相当額を上限とします。

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Q5−1−2−2 「赤い本(弁護士会基準)」では、後遺症逸失利益を算定するための基礎収入は、どのように決められるのですか。

 給与所得者については、事故前の収入を基礎として算出するのが原則です。
 自営業者、自由業者、農林水産業者などについては、申告所得を参考にしますが、申告額と実収入額が異なる場合には立証があれば実収入額を基礎とします。
 家事従事者については、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎とします。また、有職の主婦の場合、実収入が上記の平均賃金以上のときは実収入により、平均賃金より下回るときは平均賃金により算定します。
 学生・生徒・幼児などについては、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別善年齢平均の賃金額を基礎とするのが原則です。
 高齢者や年金受給者などの場合は、就労の蓋然性があれば、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別、年齢別平均の賃金額を基礎とします。

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Q5−1−2−3 「青本(弁護士会基準)」では、後遺症逸失利益を算定するための基礎収入は、どのように決められるのですか。

 原則として事故前の現実収入額とし、現実収入額以上の収入を得られると認められれば、その金額を算定基礎とします。
 また、家事従事者、学生等の現実収入がない者の場合は賃金センサスの平均賃金額を算定基礎とします。

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Q5−1−3 死亡逸失利益の算定には、生活費控除率という概念が用いられると聞きました。どのような概念ですか。

 交通事故で死亡した場合、死亡しなければ得られたであろう収入が消極損害として認められますが、同時に、死亡した後の生活費は支出しなくてよくなります。ですので、死亡後に得られるはずであった収入から生活費に相当する額を控除した額が、死亡事故の逸失利益と考えられています。
 そして、この死亡後に得られるはずであった収入から生活費を控除するため生活費控除率という概念が用いられます。
 では、具体的な生活費控除率をどう決めるかということが問題になりますが、まず、「赤い本(弁護士会基準)」では、次のようになっています。

  1 一家の支柱
   (1) 被扶養者が1人の場合 40%
   (2) 被扶養者が2人以上の場合 30%
  2 女性(主婦、独身、幼児等を含む) 30%
  3 男性(独身、幼児等を含む) 50%

 これに対して、「青本(弁護士会基準)」では、被害者の家庭内の地位に応じて、原則として、 30〜50%の範囲内の数値を認定するとされています。

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Q5−2 死亡事故の場合の慰謝料について教えてください。

まず、自賠責の「支払基準」は、次のとおりです。

@ 死者本人の慰謝料
  350万円です。
A 遺族(被害者の父母、配偶者及び子)の慰謝料
 請求権者1人の場合は550万円、2人の場合は650万円、3人 以上の場合は750万円。被害者に被扶養者がいるときは、これらの金額に200万円を加算するとされています。

 なお、自動車損害賠償保障法17条に基づく自賠責の仮渡金の金額は、290万円とされています(自動車損害賠償保障法施行令5条1号)。
 次に、「赤い本(弁護士会基準)」では、次のとおりです。なお、この基準は具体的な斟酌事由により増減されるべきで、一応の目安を示したものとされています。

@ 一家の支柱の場合
  2800万円
A 母親、配偶者の場合
  2400万円
B その他
  2000万円〜2200万円

 最後に、「青本(弁護士会基準)」では、死者の年齢、家族構成などにより、原則として下記の金額の範囲で決定するとされています。

@ 一家の支柱の場合
  2700万円〜3100万円
A 一家の支柱に準ずる場合
  2400万円〜2700万円
B その他の場合
  2000万円〜2400万円

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